権利処理実務者の諸々日記

著作権や肖像権等の権利処理に携わってきた筆者が周辺書籍の紹介等をします。

2016-01-01から1年間の記事一覧

実務者と資格試験

11月に著作権系の資格(と、ここまで書けばなんの資格かわかる人にはわかってしまう)を受けようと勉強を始めました。この試験、いつも申し込んでは受けれないという縁のない試験だったのですが...。 こういう勉強を始めると、一口に「著作権」と言ってもい…

伝えるって難しい

またもや間の空いたブログですが...。 私たちの仕事の1つに「交渉経緯」を残すという作業があります。 これは意外に大事な作業なのです。というのも、同じ権利者に連絡することは多く、2回目に同じ権利者に連絡する際は、過去にどんな交渉をしたのか、相手は…

ある日の独り言⁉︎

著作権ってどんなイメージかって聞くと大体、難しいとかわからないとか。 でも、じゃあなんで軽々しく「著作権侵害」という言葉を使うのか、疑問です。 難しいし、わからないならそれが侵害かどうかなんて、どうやってわかるのでしょうか。 これって結局、イ…

『よくわかるテレビ番組制作の法律相談』第2版

前回に引き続き、本の紹介です。 『よくわかるテレビ番組制作の法律相談』第2版 もはや、動画制作はテレビ局だけの専売特許では無くなりました。 なので、「テレビ番組」と書いてあっても動画制作する方全員にオススメです。勿論、テレビ番組ならではの解説…

権利処理実務者と写真

最近は権利処理実務だけではなく、ワークショップやガイドライン作成などのお仕事を頂くことが多くなってきました。 私自身は絵を描く才能は皆無なので、イラストが必要な際には友人にお願いすることがほとんどです。このブログのアイコンも友人にお願いして…

権利の洗い出しを習得するには...。

私たちの仕事の一つに「権利の洗い出し」という作業があります。読んで字のごとく、権利のあるものや連絡しなければならない著作物などを洗い出すという行為です。 ただ、一概にこれをやろうと思っても簡単にはいきません。 対象物も、テレビ番組、教科書な…

技術と著作権

技術の発展と著作権法は考えなければならないことが沢山あります。例えば、AIが制作する作品に著作権を付与するべきか否か。 最近はこの辺のところに興味があります。 まだいろいろな意見がありますし、5月に発表された知財推進計画2016では、人間の関与の仕…

権利処理と平和

ご無沙汰しております。 8月になりギリギリですが、ブログ再開の宣言です! といっても、今日のテーマはちょっと重い。 権利処理をしているとこの時期(正確にはもう少々前)はちょっと切ない仕事があります。それは戦争ドキュメンタリー番組の権利処理です…

ブログサイトと音楽著作権

ご無沙汰しております。 どうしてもブログを書けない状況?環境?にありまして…。でも、そろそろそんな状況、環境からも抜け出せそうなので、少しづつ復活していきたいと思います。 そんな第一弾は、動画投稿サイトと音楽の著作権について、です。 先日、JAS…

研修の振り返り

この1年、社員の研修を任せられています。次年度も基本的には研修担当が続く予定です。そこで、この1年で行った研修を振り返ってみたいと思います。 私が担当した研修は、権利者団体研修、権利の洗い出し研修、著作権研修の3種類の研修です。以前の事務所…

権利処理実務者になるために

権利処理をする人を相対化したくないのですが、それでもこんな所が求められるといいよね、というところを何点か。ちなみに、完全な個人的見解です。1)コミュニケーション力 私たちはある意味、知らない人に電話をしたり手紙を書いたりして、いきなりお願い…

マイナーな「著作権」

法律の本ですけど、マイナーですけど、地元周辺のそこそこ大きい本屋に置いてないって…。amazonは届くまでの時間がかかるのと、受けとる時間が拘束されるのがとても嫌なので、そもそも選択肢にないのです。昨日は新宿で時間が間に合わず(新宿の本屋さんも閉…

実務者のための著作権ハンドブック

最近は権利処理だけでなく、文章を書くというお仕事が増えました。比例して我が家の参考資料を社に持参することも増えました。その中の1冊がこの本。この本はタイトル通り実務者のためのハンドブックです。初心者の頃はちょっと難しいなぁと思いながら読みま…

実務上の刺激

この仕事をしていて、楽しいなぁって思うときは知らないことに対面した時です。例えば、ある番組でレイ・ブラッドペリの作品が紹介されていればその作品を読んでみようと思い、実際に読んでみる。その縁でアメリカでテレビのカラー放送が始まった年が1953年1…

教育現場の著作権

昨日、小学校の公開授業で社会と体育の授業を見てきました。そこで感じたことは、現状、学校現場では著作権35条の権利制限で充分ではないかということです。これ以上制限を広げる必要は実際ないのではないかと正直思いました(強いて言えば、送信可能化権の…

どこまで、権利処理?

権利処理ってどこまでが権利処理だと思いますか。権利者に連絡して、許諾をもらった時?いえいえ。権利処理をする時は台帳を作成することが大事なのです。この台帳を完成してこそ、権利処理完了になるのです。この台帳には何を書くのかというと、権利処理の…

テレビの見方

長く放送番組の権利処理をしていると、テレビの見方がちょっとだけ変わってきます。例えばドキュメンタリー番組録画せずに見ている時番組内のテロップはもちろんのことエンドテロップが一番気になります。どこにどの資料があるか、私たちが把握していること…

レシピと著作権

今日はバレンタインデーですね。 手作りチョコレートを作られる方も多いのではないでしょうか。 今年の私は・・・。残念ながら、手作りはしませんでしたが。 そんなバレンタインにちなんで、レシピと著作権について 書いてみたいと思います。 【前提】 A子さ…

実務家の道具箱

今日は権利処理をする際の道具について、権利処理手順とともに記してみたいと思います。※あくまでも、個人的なものですし、手順も各プロジェクトによって大きく変わります。それらの点をご了承頂けましたら幸いです。1)権利者への電話連絡道具:ペン、ノート…

ユーザーと権利者の間で

私たちの仕事は、利用したい人の要望を権利者に伝え、お願いすることです。いわば、橋渡し役です。権利者が慣れている場合はスルッと行くこともありますし、あまり慣れていない時は、時間をかけ丁寧に交渉を進めていきます。これには、ある程度センスも必要…

権利処理実務の未来

権利処理実務の未来を考えたときに、この仕事は大きく2つに分かれるのだろうと思っています。1つは権料の配分をする仕事、もう1つはより難易度の高い権利処理をする仕事です。前者は最近、増えてきているように感じられます。いずれコンピュータにとって代わ…

プログラムの著作物

以前にも書きましたが、我々、権利処理の実務者は扱う著作物によってその知識とスキルが偏りがちです。 ということで、最近はプログラム教育を盛んになってきていますし、プログラムの著作物について備忘録的にまとめておきたいと思います。 ここからは加戸…

権利処理とタイムスリップ

先日、とある仕事で、鎌倉時代に作られた古今和歌集の本を江戸時代に表装したという貴重書を生で見せて頂く機会がありました。手のひらサイズで、お姫様が着物にしのばせ読むことができた本だそうです。当たり前ですが「在原業平」と読むことができたり、そ…

クラシック音楽の著作権

今日は某私立中高のオーケストラの演奏会があり、お招ばれしたので、聴きに行きます。クラシック音楽の場合、多くの作曲家が死後50年を経過しているので、JASRACに申請するという手間をかけずに、演奏することができます。例えば、日本の作曲家では山田耕筰…

権利処理実務の仕事について思うこと。

著作権処理と一言に言っても、放送、配信等でその処理の方法は大きく変わります。 その最たるが音楽著作権の処理だと思います。放送の場合、現状はほとんどの放送局がJASRACと包括契約を結んでいるので、例えば番組制作時に使用した楽曲をJASRACに報告すれ…

著作権の本って!

このところちょっといろいろ調べるお仕事が来てまして、改めて著作権法や判例を確認することになり、『著作権法コンメンタール』2を購入してしまいました。なぜ2からかというと、今の私に求められているのは、30条以降だからです。といっても来月には、1を購…

権利処理の必需品

権利処理をする際に常に無いと不安な物があります。でも、これは個人的な物で、全員が全員必要かと言われると…。 それは一筆箋です。団体に所属していない作家さんや、資料を貸して下さる美術館、博物館の担当者などの方々に書類を送る際に同封するのです。 …

著作権教育について

今日は著作権教育セミナーに参加します。ビジネス著作権検定の初級受講者に何を教えればいいのか等を1日がかりで学ぶらしいのです。これにちなんで、著作権教育についてなんとなく思っていることをつらつらと書いてみたいと思います。現時点では、著作権教育…

映画・ゲームビジネスの著作権

このシリーズは「著作権」とうたっていますがそれだけでなく業界についての考察が記載されているのが有難いです。2005年~2014年の映画のスクリーン数や公開本数のデータや映画ビジネスの関係図、ゲームもハードとソフトの出荷数がまとめられています。また…

権利処理の仕事

初めての人に会って、自己紹介するとき「権利処理」ってどんなことをするのか、よく聞かれます。確かに「権利処理」という言葉は耳慣れないですね。私たちが普段何をしているのか、放送番組と出版物とで若干異なりますが放送番組のドラマを例にして、簡単に…