権利処理実務者の諸々日記

著作権や肖像権等の権利処理に携わってきた筆者が周辺書籍の紹介等をします。

ネットフリックスの時代

『ネットフリックスの時代』
西田 宗千佳
講談社現代新書

今秋、放送と通信の融合という観点から言えば、とても活発な動きがありました。

1つはネットフリックスの上陸。
もう1つはTVerの開始。

その2つの動きについて書かれているのがこの本。今の時期の映像配信事業音楽配信事業がどうなっているのかとてもわかりやすく書かれています。

私が気になったのは…

・ネットフリックスというボタンが今の4Kテレビのリモコンについている。
⇒アメリカの話としては知っていましたが、既に日本でもそうだったんですね。

・過去番組が配信されない理由ー権利処理の困難さ
⇒現場にいると実感しますが、元々契約社会でない日本の企業文化と関係して10年前の番組を配信しようとすると、ある程度の判断が必要な局面も…。

・アニメの方が配信に向いている
⇒理由として権利処理のハードルが低いとありましたが、最初からメディアミックスで制作されていることもあり、展開させることによる相乗効果は非常に高いと思います。

・ついに沈む「CDの国日本」
⇒確かに、今夏iTuneのミュージックを誤って全削除した私はCDよりも配信されている音楽の方が便利だと実感しています。ただ、ストリーミング・ミュージックはこれからのように思います。「ネット環境を常に」というのがまだ不便に感じるので。

TVerについては読みながらダウンロードし、いくつか番組を視聴してみました。短尺の番組はCMが前後に入り、わりとすんなり見ることが出来ましたが、長尺の番組は権利処理が出来ず、黒くなっていたり、カットされたりしています。

こういう話になると著作権の集中管理の声があがりそうですが、民間が行うとJASRACのようになり得ることも出てきてしまうかもしれませんね。