権利処理実務者の諸々日記

著作権や肖像権等の権利処理に携わってきた筆者が周辺書籍の紹介等をします。

著作物ってなに?

「著作物」って何を指しているかご存じですか?

実は結構判断に困ることが多いのです。

 著作権法では、
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されています。
 
これを分解すると、
① 思想又は感情を
② 創作的に
③ 表現した
④ ものであって
⑤ 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
となります。
 
これら5つを満たして初めて著作物と呼ばれるようになるのです。
いくつか著作物でないもの、著作物となるものの例を挙げてみたいと思います。
 
【ロゴ】これは、①〜④は満たしていますが、⑤は満たさない。
文字のロゴはあくまで「文字」のデザインで機能的要素が強い(Asahiロゴマーク事件)。美術的な要素があったとしても、鑑賞性があるかというとロゴそのものには鑑賞性があるとは言えない。
なので、ロゴは、著作物となる可能性が低いのです。
 
【子供が描いた絵】これは、小さな子供が感情を創作的に表現したもので、美術の範囲に属するものとなるので、著作物となるのです。子供の感情や思想なんて、子供の絵に美術性があるなんてと思われる方もいるかもしれませんが、稚拙さや技術の未熟さは著作物の要件には入っていないので、著作物となることに関係がないのです。
 
【アイデア】これは④「もの」になっていないと、著作物性が認められないと思います。つまり、「あぁしたい」、「こうしたい」等、思っているだけでは「もの」になっていないので、著作物ではないのです。逆に、その「あぁしたい」、「こうしたい」をノートに記したり、テープか何かに吹き込んだりしたら、そのノートやテープは著作物となり得るのです。
 
著作権は英語にすると"copyright"。直訳すると著作権という言葉よりは「複製権」になります。もちろん著作権には「複製権」が含まれていて、より広義な意味で「著作権」という言葉が使われています。でも、根底には複製ができるかできないかが大きな要件となるように思えます。