権利処理実務者の諸々日記

著作権や肖像権等の権利処理に携わってきた筆者が周辺書籍の紹介等をします。

職務著作とは

今日は職務著作について、簡単な検証をしてみたいと思います。

職務著作の要件は、

① 法人等の発意に基づき創作された著作物であること
② その法人等の業務に従事する者が創作した著作物であること
③ その法人等の職務上創作した著作物であること
④ その法人等の著作名義で公表された著作物であること
⑤ その法人等内部の契約や就業規則等に別段の規定がないこと 

の5つあります。

例えば、先日私が社内で行った研修資料、紙資料と動画資料で考えてみます。

<紙資料>
① 研修を行うことの指示はありました。資料の作成を直接的に指示されていませんが、研修に基づくということで、会社の発意と言えると思います。
② 私はその社内研修を行い、資料を作成しましたので、業務に従事した、と言えるでしょう。
③ 私は社内では研修担当で資料作成は業務中に行いましたので、職務上作成したことになります。
④ 紙資料には私の名前しか記載していません。
⑤ 内部契約も就業規則にもこういう場合の定義は何もされていません。

つまり要件5つのうち、4つは職務著作の要件を満たしていますし、社内資料として作成したので、名前が個人名のみとなっているので、この紙資料は職務著作とみなされるでしょう。

<動画資料>
① 会社の発意かと言われると…。研修2日間のうち、どうしてもはずせない外出があり、その間のために私が好意で作成したのです。その間、他の研修担当が何かすることも可能でした。これが会社の発意となるかは…。微妙なのかしら。
② 紙資料と同じですね。
③ 職務上…。これが難しいかもしれません。何故なら、今回の動画作成は全て自宅で行ったからです。その分の残業代も出ていません。自宅のPC、自分の時間となると職務上に値するか。微妙だと思います。
④ 動画資料は言わば紙資料の二次著作物です。氏名表示は紙資料と同様です。つまり、会社名は記載していません。
⑤ これも紙資料と同じですね。

弁護士ではありませんので、この動画資料が職務著作になるかならないかの判断は避けますし、言及しません。

ただ、要件に対する考え方のポイントを具体例でまとめてみました。