権利処理実務者の諸々日記

著作権や肖像権等の権利処理に携わってきた筆者が周辺書籍の紹介等をします。

レシピと著作権

今日はバレンタインデーですね。 手作りチョコレートを作られる方も多いのではないでしょうか。 今年の私は・・・。残念ながら、手作りはしませんでしたが。

そんなバレンタインにちなんで、レシピと著作権について 書いてみたいと思います。

【前提】 A子さんがバレンタインデーにあげるチョコレートを作ることに しました。A子さんは毎年チョコレートを作っているので、 覚えているチョコレートの作り方にアレンジを加え、 トリュフ作りに挑戦してみました。

ケース1) A子さんが試しに作ったトリュフが美味しかったので、B子さんが 作り方を教えて欲しいとA子さんにお願いしました。 B子さんはチョコレートを作ったことがないので、一緒に作って欲しい とお願いし、B子さんはA子さんの家で詳しく教えてもらいトリュフを 作りました。

⇨これは著作権的に問題ないと思います。レシピはアイデアなので、文字などになっていないと著作物とは言えないのです。

ケース2) 同じくA子さんが試しに作ったトリュフを食べたC子さんは A子さんにレシピを書いて欲しいとお願いしました。A子さんは C子さんが困らないように各ステップでのコツも加えてレシピを 紙に書いてC子さんに渡しました。 C子さんはそのレシピを基にチョコレートを作りました。 その様子についてブログにし、A子さんに黙って、A子さんの レシピをそのまま載せてしまいました。

⇨C子さんがA子さんのレシピを基にチョコレートを作るのは著作権的には 問題がありません。ただ、A子さんに黙って、A子さんが書いたレシピを そのままブログに載せたことは著作権的に問題になると思います。 気になることは下記3点 ①A子さんに黙ってブログに載せたこと。 ②A子さんの書いたレシピを黙ってブログに書き写したこと(複製権) ③A子さんのレシピをブログに記載してインターネット上にアップしたこと (公衆送信権) ブログに載せる前にA子さんにブログに載せることを伝え、OKを もらっておけば、問題にならないと思います。

ケース3) D子さんはA子さんが書いたレシピをC子さんからコピーしてもらい、 そのコツもそのまま解説しながらトリュフの作りを動画にして 動画投稿サイトに掲載しました。

※動画がアップされていることはA子さんは知りません。

※C子さんがA子さんのレシピをコピーしたのはD子さんだけです。

⇨C子さんがA子さんのレシピをコピーしてD子さんに渡したことは、 「私的複製」という権利制限に該当するので、著作権的に問題はないと思います。 ただ、A子さんのレシピを基に動画を撮影し、動画投稿サイトにアップしたことは 著作権的に問題だと思います。 気になる点は下記2点 ①A子さんに黙って動画を作成したこと。(翻案権) ②その動画がA子さんに黙って動画投稿サイトにアップされていること。 (公衆送信権) この場合、A子さんのレシピはD子さんの動画に対して原案となり、 ドラマでいう原作と同じ立ち位置になると思います。これを翻案といい、 著作権者は翻案権を持っています。 ただし、これがD子さん自身だけのための動画メモのような感じであれば、 問題ないと思います。 ケース2同様、動画投稿サイトに載せる前にA子さんにブログに載せることを伝え、 OKをもらっておけば、問題にならないと思います。

ということで、楽しいバレンタインをお過ごしください。