権利処理実務者の諸々日記

著作権や肖像権等の権利処理に携わってきた筆者が周辺書籍の紹介等をします。

実演の保護期間

 ここはSMAPの話を書くのがいいのかもしれませんが、まだ絶対的ではないのと、解散して欲しくないなという気持ちからもう少し落ち着いてから、まとめたいと思います。

 じゃあ、何を書くかというと…。備忘録的に実演の著作隣接権の保護期間についてまとめてみたいと思います。

現行法上、実演の著作隣接権の保護期間はその実演から50年と言われています。しかし、現行法は1971年に改訂されていて、旧法では歌唱による実演とレコードは著作権として扱われていました。
なので、同じ実演でも、歌唱による実演と演技による実演は保護期間の算出方法が異なるのです。

例えば…。

美空ひばりさん(1989年死亡)が1965年に「柔」を歌ったの場合

現行法での保護期間
実演後50年→2015年12月31日まで

旧法での保護期間
死後30年→2019年12月31日まで

現行法施行後50年→2020年12月31日まで

この場合、美空ひばりさんの実演の保護期間は、現行法よりも旧法のほうが長く、現行法の施行後50年を超えないため、旧法が適用され2019年12月31日までとなります。

村田英雄さん(2002年死亡)が1958年に「無法松の一生」を歌ったの場合

現行法での保護期間
実演後50年→2008年12月31日まで

旧法での保護期間
死後30年→2032年12月31日まで

現行法施行後50年→2020年12月31日まで

この場合は、旧法の保護期間の方が長いのですが、現行法施行後50年を超えるため、保護期間は現行法施行後50年の2020年12月31日までとなるのです。

旧法と現行法の差異で保護期間が複雑なのは、今回記した実演(レコード)の他に写真もあります。

こちらはまた次回に。